HAYには家具や照明だけでなく、持ち運ぶ、注ぐ、置くといった日々の動作に関わる小さな道具があります。この記事では、その中からSowden BottleとJugを取り上げます。同じ飲み物のまわりにあるObjectでも、デザイナー、素材について確認できる情報、形が支える用途は同じではありません。
この記事は、2019年に公開したHAYの雑貨紹介を、現在確認できる公式情報に沿って組み直したものです。旧記事は9点を「通販したい雑貨」として並べていましたが、多くは現在の公式情報と一意に結びつけられませんでした。そこで、数を保つのではなく、現在のHAY公式情報で位置づけを確認できる2点に絞ります。旧記事にあった、日本では取扱いが少なく海外通販が主な入手方法になるという記述も、現在の事実としては引き継ぎません。
HAYの日用品を見る
HAYは公式サイトで、家具、照明、アクセサリーを、家庭と仕事の境界が変化する現代の多様な環境に向けて扱うと説明しています。また、ブランドの着想源として、アート、建築、ファッションを挙げています。これはHAY自身によるブランド説明です。
Faretoqeがここで見たいのは、その説明を抽象的なブランド像のまま受け取ることではありません。日常の中で繰り返す動作に、個々のデザイナーがどのような形を与えているかを、具体的なObjectから確かめます。
持ち運ぶ道具 — Sowden Bottle
Sowden Bottleは、HAYが現在公開しているSowden Collectionに含まれるObjectです。HAYはこのコレクションを、George Sowdenが手がけたボトル、ケトル、ティーポットなどのまとまりとして紹介しています。旧記事ではSowden Bottleに「花瓶」という用途を添えていましたが、現行の公式情報では水を持ち運ぶボトルとして扱われています。
George Sowdenと持ち運ぶ形
George Sowdenは、建築を学び、Olivettiでの仕事やMemphis Groupへの参加を経たデザイナーです。HAYとの仕事はひとつの製品に限られず、飲み物を入れる、注ぐ、保存するといった動作に関わる複数のObjectへ広がっています。
ここでSowden Bottleを見る理由は、人気や購入しやすさではありません。家の中だけでなく外へ持ち出す容器が、HAYと一人のデザイナーとの継続的な仕事の中に置かれている点です。一方、今回確認した公式ページからは、現行品の素材、寸法、手入れ方法、日本での取扱状況までは確定できません。これらを推測で補わず、Bottleの現在の位置づけとデザイナーの関係に範囲を限ります。
注ぐ道具 — Jug
HAYの現行Jugは、ロンドンを拠点とするガラス作家Jochen HolzがデザインしたObjectです。公式製品ページでは、素材を耐熱性のあるborosilicate glassとし、サイズと色の異なる複数のvariantを案内しています。用途として示されているのは、飲み物を注ぐことと、花を飾ることです。
Jochen Holzとborosilicate glass
HAYはJochen Holzについて、ドイツでtechnical glass blowerとして学び、lampworkingによって熱したガラスの流れを形に生かす作家だと紹介しています。これはデザイナーの実践についての説明であり、この記事が個々のJugの製造工程を独自に確認したものではありません。
Jugでは、素材名だけで性能を広げて解釈しません。公式ページが示す素材と用途を越えて、安全性、耐久年数、温度範囲、手作業による製造を断定しないためです。購入や使用を検討するときは、対象variantの最新仕様と付属する取扱案内を確認する必要があります。
2つのObjectから見える違い
Sowden BottleとJugは、どちらも飲み物の近くにある道具ですが、同じ役割ではありません。Sowden Bottleは持ち運ぶ場面に置かれ、Jugは食卓や室内で注ぐ、あるいは花を飾る場面に置かれています。前者はGeorge Sowdenによる複数のObjectのまとまりから見え、後者はJochen Holzのガラスに関する実践と結びついています。
また、今回確認できた情報の範囲も異なります。Jugは現行ページでデザイナー、素材、variant、用途を確認できますが、Sowden Bottleは現行コレクションでの位置づけとデザイナーの関係を中心に扱います。同じBrandの記事でも、すべてのObjectを同じ項目で埋めるのではなく、確認できる事実の厚みに合わせて書き分ける必要があります。
この違いから、HAYを一つのスタイルだけで説明するのではなく、異なるデザイナーが日常の動作に与えた形を集めるBrandとして見ることができます。これは公式文言の要約ではなく、2つのObjectを並べて読むFaretoqeのEditorialな見方です。
2019年の記事から残すもの
旧記事には、Sowden BottleとJugを含む9点の名前が並んでいました。そこにあったのは、家具だけではないHAYの日用品を見つけ、その用途を知りたいという関心です。この関心は現在の記事にも残します。
一方で、旧記事の空欄に近い「商品情報」、色や型の数だけを示す記述、現在性を確認できない7点は引き継ぎません。Paper PorcelainとBorosilicate CupにはHAY公式の歴史資料がありますが、今回の2 Objectsを理解するために不可欠ではないため、本文には加えません。過去の品を現在の商品として見せないことも、旧記事を読み直すために必要な整理です。
日常の動作からBrandを捉え直す
Brandを知る入口は、代表的な家具や商品数の多さだけではありません。水を持ち運ぶBottleと、食卓で注ぐJugを見ると、近い用途の中にも、デザイナーの背景、素材について確認できること、形が置かれる場面の違いがあります。
HAYを読むときに残したいのは、「どれがおすすめか」という結論ではなく、ひとつのObjectがどの動作のためにあり、誰が形を考え、どこまで公式情報で確かめられるかを見る姿勢です。日用品を背景とともに見ることは、Brandの印象を繰り返すのではなく、暮らしの中でそのObjectが担う役割を具体的に考えることにつながります。